私たちは、こだわりをもってものづくりをしています。
こだわることを続けることでしかものづくりにおいて経験は積めず、経験がなければ均整のとれたものは作れないだろうと考えています。作家や職人のこだわりというと「曲げない、譲れない」そんなどこか小難しいものに聞こえてしまいますが、こだわりというのは、それを経験に変えて、その経験が知識の引出しとなって、一つ一つの事案に正しく応えていくことができるようになる力のことを指すのだと考えています。それはオーダメイドで家具を作る私たちにとっては、家具の使い手の要望に正しく答えていくために必要な備えでもあります。木という素材についてや、機能、デザインとそれは多岐にわたり、常に備えは更新が必要です。
家具の使い手と作り手とのコミュニケーションから生まれるオーダーメイドの家具は、依頼主との何気ない言葉のやり取りの中にこそ、その家具に必要な本質を見出すことができるというようにも考えています。作家の創意ばかりを強くなってしまうと、本来の目的である日々の暮らしにおける道具というところからは逸れてしまい、長い目で見ると、そのこだわりが不便なものになっていってしまうように思われます。できるだけ家具そのものの普遍的な形を追い求めること、決して過剰でないごく当たり前の機能が備わるということ。デザイン過多にならず、長く使い続けられるものを作っていきたいと考えています。
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