今年一年も沢山の製作に携わることがでたことに本当に感謝しております
依頼主の皆様には、これからも家具のお世話も兼ねて、末長くお付き合いさせていただければと思っております
年末に、どっとまとめて作例の紹介を更新をするのが、毎年の恒例のようになってきています
製作に集中すると、なかなかこうしたデスクワークを後回しにしてしまいがちなところは反省箇所です
ちなみに、ここで紹介しているのは製作した家具たちの半数くらいなのではないでしょうか
写真映りがいまひとつであったり、製作のほうが忙しくなると写真をとることさえままならなくなってしまいます
綺麗に家具をセイッティングして、光を捉えて、三脚を立てて、そして撮影となると結構な手間なのです
こうやって私なりの技量でもって、できるだけ綺麗な写真を撮るのは、家具に私が込めた考えや想いをきちんと伝えたいと始めたことです
それが、ここで見ていただいた人たちに伝わることが、次の仕事の依頼にも繋がるというようにも考えています
私自身は作品の紹介をしながら、その時々の仕事を振りかえっているのですが
いったいどれくらい成長できたのだろうか、ということを考えたりします
数年前と比べても、仕事はますます複雑化しているのですが、それに動じることなく取り組めるようになってきているように思います
ただ、その成長を続けてくことが本当に私自身が目指していることなのか、と問われると少し違う気もしています
素晴らしく美しい、でもとても技術を要して、誰にでも出来るものではない
そんな仕事を私自身は目指しているわけではないような気がします
これまで、ますます難しくなっていく仕事内容や、繊細なディティールにも挑んできたことが仕事の質を向上させたことは疑いないことです
でも、それを還元していくのが次のステップだというように感じています
違った決断もしなければと思っています
今年一年を通して、より色濃くなったところを自分なりに上げるとすると「依頼主とのコミュニケーション 」ではないかと思っています
図面やメール連絡でのやりとりの回数もそうですが、できるだけ直接会う機会を作って話すことや
設置場所や建築現場に足を運ぶということも以前より回数が増えたように思います(受け皿となる建物とのコミュニケーションですね)
私は家具を作り続けてきて今になって
家具なんてもっと単純なものでも良いし、凝ったディティールなんてなくたって良いと思い始めています
ただし、暮らしのなかできちんと役割を果たせるもの(道具)であってほしいというように考えています
私の工房のような小さくて生産能力もそれほどないところで可能なこと、むしろ小さな工房だから可能なことというのは
家具の使い手と徹底したコミュニケーションのもとで生まれる家具なのではないかと考えています
それはただ単に、使い手の求めることのみを汲み取って形にすることとは違うとはっきり言っておかなければいけません
むしろ逆なのかもしれません、私たちの工房には私たちが考える「良き家具」という像が出来つつあり
それを求めてくれる依頼主と出会い、そして、私たちは私たちの家具を依頼主の暮らしにフィットさせる作業が必要だと考えています
そのためには、こちら側から誤解を産まないための説明が必要であったり
時には出来上がっている私たちの考えの方を修正する必要だって出てくる場合もあります
そのためにはコミュニケーションをとることだけが頼りになっていく気がします
いろいろと紆余曲折してここまで活動してきたような気がしますが、こんな単純なことを今さらながらに思っています
写真だって、綺麗なものばかり載せているのは、なんだかうわべだけのような気がしています
その時々の出来事や、葛藤している様子も伝えていくことで、もっと私たちのことを知ってもらえるような気がしています
私たちの作る家具を求めてくれる人の暮らしを少しでも幸せな方角へと、、
小さな後押しができれば良いと思っています
来年も、良い年となりますように
タンペレ 出口真樹
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