tampere   

Dec 2015

革張りソファー


2015
年も沢山の依頼を請けて家具を製作させていただきました
依頼主の皆様に心より感謝申し上げます

考えられるだけのことを想定し、持ちうる技術を尽くして家具つくりをしています
ひとつひとつの依頼にきちんと応えたいと思うと、なかなか思うようには進行していかないこともあって
幾人かの依頼主の方には長い間お待ちいただいている状況です
期日に間に合うことの大切さは承知ですが、これからの長い人生を共にするであろう家具をオーダで製作するということ
楽しみにお待ちいただければ幸いと思っております

数名の方からご依頼いただいている一人掛けの休息椅子、ソファーもいくつかのオーダーをいただいています
新しい試みで製作することになるダイニングテーブルについてなど
お正月休みの間に設計の詳細を詰め、年が明けてから順に製作に取りかかれるようにしたいと考えています

  *

写真は今年の春頃から自発的に製作していた革張りのソファーです
中のクッション材を製作してもらっている業者さんに何度も変更を重ねてもらい、ようやくの完成です
完成から数ヶ月、満を持して仕立てた革がどのように経年変化していくのか、中材の羽毛のへたり具合は想定の範囲内なのかどうかを知るべく
工房で毎日、休憩の際に座ったり寝転んだりしています。今のところは特に気づく変化はなく、まだまだ様子を見ていきたいと考えています
肝心な座り心地については、工房を訪れる家具好きのお客さんを唸らせるだけのものになっていますし、私自身も納得の出来です
柔らかく鞣された革と、密度ある羽毛のクッションがしっとりとした感触で、預けた身体をつつんでくれるような心地です

今後、このソファーが定番となるかどうかが私が望むところではなく、この経験で培ったデータこそが私たちの工房の財産なのです
そして、このデータが準備となり、心構えとなることで
現在いただいているソファーや休息椅子といった新しい家具の製作依頼に、少しは自信をもって対応させていただけているのではないかと思っています

これから生み出される家具に私自身がわくわくしています
今後も、ここで新たな家具が紹介されることを楽しみにしていただけると嬉しい限りです

  *

自身の仕事を省みることも大切な作業です
2015年後半の仕事の写真も近い内にこちらで掲載したいと思います



Aug 2015

kawabe arch
kawabearch
kawabearch


photo by Akinobu Kawabe


川辺直哉建築設計事務所


Meeting Table / Moabi ・ron
Sofa / Linen・Cotton



Aug 2015

チーク ベンチ
チーク オーダー家具
チーク ベンチ
チークベンチ

Bench

Teak (oilfinish)


 

Aug 2015

square table oak
squareテーブル
正方形 テーブル

Square Table ( 1600 x 1600 )
Bench

Oak (oilfinish)

服部信康建築設計事務所



Aug 2015

wardrobe chest

Wardrobe Drawer

Kurumi (Oil finish) ・ Iron


 

July 2015

easy chair
easy chair

Easy Chair (study)

White Ash ・Brass ・Cotton and linen


 

June 2015

楕円テーブル
楕円テーブル

Oval Low table

Walnut (Oil finish)


 

June 2015

タモ キャビネット
タモ キャビネット

Cabinet

Tamo (Oilstain)

川辺直哉建築設計事務所



May 2015

オーク ベッド
オーク ベッド

Bed frame 
Chest

Oak (Oil finish)・pine


 

May 2015

チェリー ベッド
チェリー ベッド2

Bed frame

Cherry (Oil finish)


 

2015.05.30
Study 

PP129
PP129 横
PP129 背もたれ
PP129心地

Study Model

PP129の模作スタディーもロープの編込みを終えほぼ完成といったところです

作ってみて気づくことが多かった今回のスタディーですが、最後にこのロープで編むというのがいろいろと理にかなっていると感心させられています
慣れてしまえば編む作業は比較的容易で、しかもこの編み方は均等にテンションを効かせることが自ずとできてしまう構造になっています
そして、ハンモック状に編まれたテンションの効いたロープに体ごとあずけてしまえるその座り心地は
柔軟でありながらしっかりと腰を支えてくれています、あと、その軽さも特筆すべき点です

ヘッドレストと座面のクッションを製作して完成となりますが、座り心地はすでに疑う余地はなさそうで
長時間座っていられるような休息用の椅子として本当に優れたものだと再認識しています

スタイリングのおおらかさも北欧の椅子らしさとはこういうことなのかと気付かされます
思いきりの良い傾斜、身幅の広い座面、絶妙な肘掛のポジション、ちまちまとデザインされてなくて良いです

やはり一人掛けの休息椅子というのは良いものです
一人掛けの椅子に座ると、個人がその居場所を物質的、心理的に独占できたような感覚を得ることができて
過ごす時間の質が少し変わるんじゃないかと思っています
一日の終わりに一息つく時間をもったり、休日をゆっくりと家で過ごすと決めたならば
そこに一人掛けの椅子があると素敵なものになるのではないかと
気分や季節で居場所を移動させることだって簡単です

一人掛けの休息椅子はもっと世の中で認められても良い家具の一つだと私は考えています


このスタディーは自宅で使うものとして、、、
新しい一人掛けの休息椅子を作りたい欲求にかられております


 

2015.05.15
Study 

pp129 study1
pp129 study2

Study Model

現在一つの椅子を模作しています
商品としてではなく、あくまで工房の技術を向上させるのが目的です

題材としているのはPP129というウェグナーが1968年にデザインし、現在デンマークのPPモブラー社で生産されている椅子
通称ウェブチェアと呼ばれていて、背面と座がロープで編まれているものです
これから、ロープで編む作業というのをやってみようと思っています

ロープでの編み込みというのも初めてのことなので、それも新たな経験になることなのですが
この椅子の製作を困難にしているポイントで、今回のスタディーのテーマとなっているのは転び、つまり傾斜角です
椅子の前後左右、それから上下にも大きく傾斜がついており、各部材の接合部が四方向に角度がついています
部材がぶつかる箇所が曲面になっているところもさらに加工を難解にしていたりもします

何より、この椅子のように前から見た姿と上から見下ろした姿の双方に角度がついているものは
三面図を起こしたところで、部材の加工寸法を図面からは拾うことができないということ
この問題に気づいていたので、実はこれまでにこうした他方向に傾斜する椅子の製作をためらっていました
図面を引いて、部材の加工寸法を出してから製作するというこれまでの手法を根本から変えて製作に取り組むことにしました
時間をかけてひたすら手を動かすというより、立ち止まり、少しずつ擦り合わせることを繰り返してようやく形になってきました
出来ていなかった事がひとつ解消されましたが、身につけなければいけないと思っていることは未だ山積です

   *

いろいろのな問題もあろうかと、形状やディティールは省略している箇所も多くありますが
先に述べたように角度や、全体のプロポーションというところを写して作って作ってみたことで
これまでの自分にはなかった新たな感触も得ることができそうです
これは今後、自分の椅子を設計する上でかなり役に立てることができそうです

この椅子の完成までの過程はこれからもここで報告していこうと思っています



 

2015.05.08
書斎椅子 

アームチェア 革編み
アームチェア 革編み アームチェア 革編み2

Arm Chair

Wallnut / leather

Standard Chairの幅を少し広げて書斎用の肘掛け椅子を製作しました
ウォールナットと黒革の相性も良く、書斎という場によく似合う賢く佇む椅子が出来上がったように思います

削り出されたアームは緩やかなアーチを描く形状をしていて、肘を添えた時に優しくフィットします
厚い革ベルトで編みこまれた座面は丈夫で張りがあって少し硬めなのですが、時間が経つにつれお尻に馴染んできます

一脚の椅子としては少し値は張りますが、永く使いつづけていただける椅子になったと思っています




2015.05.08
Console Table 

コンソールテーブル1

Console Table

Cherry(oil Finish)/ Brass


 

2015.04.22
Study 


現在、黒革でソファーの製作を考えています

フレームは約1年前からこつこつと試作を重ねてきたスポークタイプのものになります
2メートルを超える3人掛けのフレームでも構造がしっかりとしていたのは想定外に嬉しいことです
今、このフレームに添えるクッションの検討をしています
これまで頻繁に用いてきたウール生地のファブリックも良いと思っているのですが
私がこのソファーをイメージした時に思い浮かぶクッションの素材は革、それも黒というのがなんとなく最初から決めているイメージです
定番となるのは黒の革、黒革のソファーです

そこで、どのような革を採用しようかと検討しています
因みに、このソファーは木のフレームを私達自身で作る事はもちろんですが、用いる革やクッションの中材に至るまで
要素のすべてを私達自身で個別に決定して、この工房で責任をもって一つの製品に仕上げたいと考えています

革については検討し始めてもう3ヶ月以上過ぎています
黒の革といっても、その触感や光沢感、硬さ柔らかさにシボの有無など、色を決めることよりもかなり奥が深い
インターネット上にあるたくさんの情報をもとにサンプルの収集を行っていたのですが、これといったものが見つかりません
なかなか理解が深まらないということもあって、最終的に問屋さんに出向いて話を聞いてもらうことにしました
結局、問屋の職人さんと相談してオーダーで革を仕上げてもらうということで、いくつか候補をあげて革の試作しています

話はそれますが、なにもここで、こんなにも苦労したこだわりの逸品だから期待してほしい、といっているのでは決してありません
それに、素材をセレクトする作業をこだわりといってしまうと、物作りでそれほどチープなこともないように思えます
試行錯誤をしていてようやく気付いたのが、ネット上で知り得る情報というのは、物作りをする上ではあまり意味をなしていなかったということ
物を選択する際の、XX産のXXランクだから良いとか、その逆とか、物作りをする人間はそれで判断していてはいけないということ

いつも材としている木に関してはそんな見方をせずに、手にとって、その材が家具となった姿をただひたすらイメージしてみます
木にとって最適な家具、家具にとって最適な木というのを自分の中にある価値感のみに従って選別しています
そして、その経験が蓄積して自分なりのデータというのができあがってきています

話を革にもどします

最初は革のなめし方を植物タンニンでなめす、いわゆるヌメ革に固執していたのですが
実物の感触がもう一つ求めているところと違うということに気づきます
それから仕上がりに関しても染料で仕上げるのか顔料をかけるのか
染料仕上げのほうが触感がさらっとしていて肌触りは良い、ビニールレザーのような湿気で肌がベタつくような感じも受けにくい
ただ、染料だけで仕上げたものは耐光性や耐摩耗性に不安を感じます、オイルやワックスで表面保護がある程度可能ということですが
黒い革が日に焼けた様や銀面がすれてしまったものというのは決して良い味ではないと考えています
この耐久性についてはもう少し時間をかけて自分で確かめてみようと考えています

革の色が黒でなければ、ここまで掘り下げて考えることもせずに「革も木と同じように経年変化を味わうものだ」と一刀両断していたかもしれません
苦労しておりますが、もう少しで採用する革については決まりそうです

今週からは中につめるクッション材について、その道の職人さんに相談にのってもらっています
羽毛や綿、それにウレタンというところを素材に用いることになりそうですが、これも革で苦労した経験をしっかりといかしたいところです
スペックとか巷にあふれる常套句に流されるのではなくて、 自分自身の中にある価値観で決定していければ良いと考えています

 


 

2015.04.03
Roll Door

ジャバラ戸
ジャバラ戸 クローズ
ジャバラ戸 おオープン
ジャバラ戸

Rolldoor bord
RedOak (Soap Finish)

Slide Door for shade
RedOak (Soap Finish)

建築設計 あつみ建築

ロールドア(蛇腹戸)の家具を製作しました
この蛇腹戸というのははじめての試みでしたが、その作動性も佇まいの良さも申し分ないものに仕上げられたように思います
蛇腹の戸は閉じた姿も、開け放った姿もどちらも美しいのがその最大の利点だと考えていて
オーディオ機器類、雑多なものを収めておく引出し、書籍のコーナーというように
家具の内部においても建築の文脈に沿うようにシンメトリーに美しく配置しました

蛇腹の戸を製作するには、板を細かく縦割りにしてから、再び繋ぎ直すという作業が必要になります
この板割りと繋ぎ直しの作業の際、ナンバリングして元の位置にもどしてあげることで再び木目は揃うことになります
今回のボードは横幅が2700程あって、割いた板は200本にもなりましたが、きちんと戻してあげたので木目が綺麗にそろっています
蛇腹戸の設計の際には、北欧ビンテージから家具作家さんが作るような家具まで様々な家具を参考にしましたが
古い北欧ビンテージの家具は突板ではあるものの、木目も揃って、手掛けも美しく削られていて、やはり、そこを基準とすることになりました
毎日、工房で製作していると端材が多く出るので、こうした蛇腹の戸などはその端材を用いれば、端材処理も進んで良いのですが
安易な方向に舵を取らずに、依頼主が一生をともにする家具ということを肝に銘じると、進むべき方向は自ずと見つかるものだと思っています

家具にあわせてその上に引き違い戸も製作しました
この建具のおかげで、空間はステンドグラスから漏れる光に限られていっそう穏やかなものへと変わります
今回、製作した家具と建具は細々と凝っているものの、その佇まいはとても大人しいもので
そこにあることが自然すぎて、その存在をも疑ってしまうようなものかもしれません

主張の強い家具をつくることも、同化してしまうほど協調する家具をつくるのも
細々とした工夫を凝らすも、単純明解で大胆な仕事をするのも

すべてはそれが居心地の良さに繋げられると良いですね


 


2015.04.03
Extension Table


Extention Table
Wallnut
W1300〜1800 D800 H700


伸長式の食卓、レール金物は用いない蟻溝による引出し構造で作られているのでガタつきが少ないという特徴があります
スクエアで装飾性の乏しいテーブルですが、伸長という機能と美しいウォールナットの木目だけで役割としては十分ではないかと考えています
  

   *


北欧で暮らしていた当時、私の住んでいたアパートの備え付けのテーブルはパイン材で作られたエクステンションテーブルでした
デンマークでは訪れる家々、結構な確率でエクステンションテーブルに遭遇した記憶があります

北欧の市街では古い石造りのアパートメントが住まいとなり、また少し郊外にいくと一軒家が多いのですが
デンマークではそれほど大きくない平屋というのが平均的な層の暮らしです
長い冬を心地良く暮らすべく、皆、本当に素敵な暮らしぶりなのですが
それほど大きくない空間で、家具と家具の付かず離れずの距離感は絶妙で
大柄な北欧の人たちが意外にもコンパクトに住まわれているのに、なんともいえない暖かな心地よさを感じていました
暮らしを積極性をもって楽しむことになると、大は小を兼ねるではなく、大には大の、小には小でなければいけない瞬間があるのだろうというのがその時に憶えたことです

私はあまり開放的な空間が苦手で、先にも述べたような心地よい距離感というか、狭い、低いといったこじんまりとした空間のほうが落ち着きます
大きなテーブルは立派で、木目の美しい無垢材で造るならぜひ大きなテーブルを、と勧めがちなのですが
家族で囲むちょうど良いサイズのテーブルというのも素敵だ、と最近は思っています



 

2015.03.09
お礼

昨日、地元の新聞にタンペレのことを取り上げていただきました
思いの外、紙面を大きく割いていただいて驚いていたのですが、さらに今朝から
電話での問い合わせが立て続き、電話を置いたら電話が鳴るというテレビドラマのようなことも経験させていただきました

日頃、ネットを介してこちらでチェックしていただいている方々とは少し違って
新聞という媒体ならではで、お年を召した方からのお電話が大方でした
「長年使い続けてきた思い入れのある食卓なのだが、家族が少なくなったので小さくはできないか?」
「風雨で劣化した木製の玄関ドアをなんとかしたい、でもアルミのドアは嫌だ、木製にしたい、なんとかなりますか?」
といった改修工事やリメイクのお話も
いただいたご依頼には全てお応えしたいと考えています
私たちにはそのスキルはあります
気持ちの有無を問われているとするのなら、それもあります
迷うことなく、できる限りの仕事をここでもさせていただきたいと思っています


   *

新聞記者の方が来訪されて取材を受けたのは、つい1週間前のことでした

家具を作り始めたきっかけから、これまでに至る経緯、現状の様子とこれからの夢
それらのことを断片的で、繋がらない言葉でお伝えさせていただきました

ものづくりをするなら美しいものを、職人なら綺麗な仕事、手早い仕事をなさなければならないこと
つまり至高を目指さないというのは、もの作りをしていて嘘になるのではないかということ

家具つくりは使う人のためであって、その一つ一つの依頼主との対話が大切さだと思っていること

だけれども、そうしたものを普通に流通させれないかと考えていること

矛盾だらけで本当に困った取材対象の私であったと省みていますが
ただ、そうしてお話させていただくことで自分の考えを見つめ直す機会を得ることができたように思っています
それが本当にありがたいことだと感じています


中日新聞 渡辺様へ

この場をお借りして感謝、御礼を申し上げます
ややもするとネガティブにとらわれがちな、拙く、語気の強い私の言葉を
とても前向きに表現していただけたと思っております

「懐古主義かもしれないが、特別なものを特別な人のために作るだけでなく、丁寧に作られたものが当たり前に流通する社会に戻れないだろうか」

最後に綴っていただいたこの言葉通りには直ぐにはいかないでしょうが
繰り返しの作業を惜しむことなく、またはそこに近づけるためのアイデアを出そうとすることを怠らずに
私は、職人自身が招いているであろう現状からの脱却を図っていきたいと思います

 



2015.02.28
Desk


Desk
Oak / Iron

学習机をオーダーで製作しました
意外かもしれませんが、これまでに学習机を製作したことはほとんどありません
日頃製作しているものからして、そのニーズに応えられていない理由を自分自身では察するところもあるのですが
要するに「その目線に立てないでいる」ということではないかと思っています
その良し悪しを問うことは置いておいて
今回も大人目線(私の身勝手な価値観)の家具として提案させていただきました

男の子の学習机ということで、少し無骨なものにしたい
「むしろ作業台くらいのイメージのものを」と提案すると依頼主は快く受け入れてくれました
無垢材なので、傷や汚れがついたら鉋をかけて綺麗に洗い直すこともできます

本棚はブックエンド状の木の塊を黒鉄の金物で固定するだけのシンプルなもの、横スライドするので意外と便利も良い
要らなくなれば、これも綺麗に取り外してしまうことができます

鞄掛けのフックも肉厚なアイアンで特別に製作したものです
ハードな使用でも全く問題ないでしょう


私は今後も私目線の家具作りしかできないかもしれません
「物を作るということは知ることだ」という考えをもっていて、常に様々なものを勉強しているつもりではあります
ただ、世には要らないものも多くあって、それをどうしても知識として蓄えるキャパシティーが私にはありません

ますます偏向していく自分に疑心しながらも「共有できる豊かさ」とは何かを考え、この仕事を続けていこうと思っています

 


 

2015.02.28
LOWBORD

チェリーチェスト

Low bord
Cherry / Brass

チェリー材のローボード、リビングに置かれる収納家具です
床の間の飾り棚のように、家具の上に物が飾れるようにというオーダーで製作しています
床がオーク材なので、それに負けないようにチェリー材でも表情の豊かなものを用いてほしいというご要望も
家具自体が平面的で素っ気ない形でもあるチェストのような家具の場合には、木目の表情が際立つように少し作為をほどこすこともあります
それを行うか、どうかの判断は製作途中でいつも時間をかけて検討しています
年を増すごとに、この無垢材というものの難しさ、深さを感じるようになっています
そこが、私たちのものづくりの醍醐味なのかもしれません


 

2015.02.13
Armchair

armchair
アームチェア

Armchair
Ash(Soap Finish)/ Cane

例年、仕事の流れが穏やかな一月に新しい椅子をつくることにしています
今年はアームチェアを作ろうと、昨年の夏頃から決めていました

幾人かの方から、肘掛けのある椅子が欲しいという相談を受けていて、これといったお薦めできる作例がなかったというのが理由でもあるのですが
思い返すと、最後にアームチェアを設計したのが10年以上も前のことだったので
今の私なら、どのようなアームチェアを作るのか、自分自身の考えるものに興味があったというのが本当の理由かもしれません

新しくアームチェアを設計するにあたって、もっとモダンな形のものを、とも考えてみましたがどうしても製作を進める意欲が保てず
悩みに悩んだ挙句、Standard Chairのアームチェア版をつくるという決心をしました
このStandard Chairは私にとっては大切な作品のひとつなので、中途半端なものなら作らないほうがよいと
少し気負いながらも、慎重にそのかたちの検討をしていくことにしました

アームレストは古いウィンザーチェアに見られるようにスポークの支柱を横貫で受ける形に
これはウェグナーやモーエンセンの椅子にも見られる納まりですが、いずれもその起源はウィンザーチェアだということで間違ないでしょう
アームレストの形状については、もっと綺麗で流れるような形や三次曲線もあるだろうに、と少し不安になりながらも
この靴べらのような少し間が抜けたような形こそが、この椅子には最適なんだと思えると、もう迷いはなくなり製作は進んでいきました

できあがった椅子はとてもプリミティブで牧歌的な雰囲気が漂っています
今の私が作りたいものというのが如実に表すことができて、個人的にはとても満足しています

私たちが作るのは家具そのものではあるのですが
それと同時に作られているのが、その先の景色であったり、家具とともに過ごす時間や使う人の物語でもある

目をぼかして心を研ぎ澄ませる、そんなものづくりに少しづつシフトしていけると良いと考えています


 

2015.02.03

籐食器棚

Cup boad
RedOak (Soap Finish)/ Cane

籐網み扉のカップボード
籐の控えめな素材感と、編み込みというハンドワークの温かな表情は、木の家具とはまた異なった魅力があります
天然素材ゆえの経年変化というのも、無垢材を扱う私達にとっては馴染みあるものです
光を受けて艶やかな表情をみせる籐の様子とソープフィニッシュの柔らかな木の質感のコントラストがとても心地よいと感じます



2015.02.03


Dining Table
RedOak (Soap Finish)

こちらのテーブルも上のカップボードと同じくレッドオークのソプフィニッシュ
ちょっとしたテーパーを天板裏につけていることや、脚のテーパーのふっくらとした曲線をその都度変化させていることは
それほど大きな違いを産むことではなく、隠し味程度のことなのかもしれません
ただ、そうした些細なことが、毎日の景色を変えることや、使用感の充実に繋がるからこそ
大事にしていかねばと思っています



2015.02.03


Standard Chest
Oak (Oil Finish)/ Brass

定番のチェスト、材はホワイトオークです
日本の楢よりも荒々しくて、ホワイトオークの家具は力強い表情にすることができます
ただ、やみくもに用いてしまうと、力強さがあだとなって、非常に雑な家具に仕上がってしまいます

家具も人も大胆かつ繊細なのが良い、とずっと思い続けています
この家具はその表現が似合うと感じています





2015.02.03


Console
Cherry (Oil Finish)/ Brass


 

2015.01.08

MAIN

新しい年を迎え、工房はすでに始動しています

昨年末、例年より早く休みに入ったおかげで、お正月を早めに切り上げて仕事に取り掛かっていました
待っていただいているお客様の家具の図面を起こしたり、主にデスクワークを続けていましたが
考えてばかりの作業が続くと、やはり戸惑いが出てきます
戸惑いながらも、少し冷静になり、基本に忠実とすること
それから、家具を使う人の姿をイメージすること、
そうして導かれる答えであえれば、それは正解なのだろうとやっています
以前よりも少しだけシンプルな自分がいます

シンプルという表現

私はこれに独特の解釈をもっていて、容易に用いないようにしています
単純なことや、簡素なことをシンプルと表現してしまうと
シンプルな家具を作っています などと言ってしまうと
それがあまりにも意味を持たないことになってしまう気がするからです

シンプルということ

私はこれを、もっとゆるぎのない力強いことを表現する言葉だと捉えています
例えば、野生の動物が生きるために活動するように、必然で力強いその様こそがシンプルなのだと私には映ります

私は人なので、痛い痒いを喚きますし、あれこれと悩んでばかりかもしれません
ただ、この仕事において
出した答えだけは「必然の結果です」と力強くいえるようになりたいと願いやっています

昨年に携わらせていただいた仕事を振り返りながらそんなことを考えています
2014年後半の仕事を紹介しています 

2014_2    からご覧ください  







 


出口真樹/1972年 三重県生まれ

1995年多摩美術大学デザイン科卒 
1998年住宅設計の仕事から一転して家具職人の道を目指しデンマークへ留学 デンマークで家具の製作技術と家具デザインを学ぶ
2000年帰国 自身の家具製作アトリエを開設 現在に至る

 

 

 

 
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