玄関に置かれるキャビネット 下足入れとして、また架台として季節のしつらえが飾られることになる
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依頼主の自宅玄関には備え付けの収納などがなく、そう広くはないその空間に家具を置くことにも少し戸惑いがあった。また、収納としての役割というよりは、家の顔となる玄関にふさわしい家具がどのようなものかを悩み続けていたようでもあった。そうして依頼主が巡りに巡って見つけたのが北欧製のビンテージ家具で籐編みの引き違い戸のもの。それはウェグナーがデザインしたとても控えめで品の良い、ただし背の低いサイドボードであった。 玄関の家具はそれを下敷きに空間にふさわしいプロポーションで製作することにした。籐の編み方や、足下の樹種を違えているあたりのディティールはウェグナーのデザインに倣ったもの。真鍮の手掛けはバランスを見て加えることにした。 籐の控えめな素材感と、編み込みというハンドワークの温かな表情は、木の家具とはまた異なった魅力がある。天然素材ゆえの経年変化というのも、無垢材を扱う私達にとっては馴染みあるもの、今はまだ明るい籐の肌色も、これから木材と同化するように飴色がかっていく。時は刻まれ、この家具の品格は増していくだろう。