例年、仕事の流れが穏やかな一月に新しい椅子をつくることにしています
今年はアームチェアを作ろうと、昨年の夏頃から決めていました
幾人かの方から、肘掛けのある椅子が欲しいという相談を受けていて、これといったお薦めできる作例がなかったというのが理由でもあるのですが
思い返すと、最後にアームチェアを設計したのが10年以上も前のことだったので
今の私なら、どのようなアームチェアを作るのか、自分自身の考えるものに興味があったというのが本当の理由かもしれません
新しくアームチェアを設計するにあたって、もっとモダンな形のものを、とも考えてみましたがどうしても製作を進める意欲が保てず
悩みに悩んだ挙句、Standard Chairのアームチェア版をつくるという決心をしました
このStandard Chairは私にとっては大切な作品のひとつなので、中途半端なものなら作らないほうがよいと
少し気負いながらも、慎重にそのかたちの検討をしていくことにしました
アームレストは古いウィンザーチェアに見られるようにスポークの支柱を横貫で受ける形に
これはウェグナーやモーエンセンの椅子にも見られる納まりですが、いずれもその起源はウィンザーチェアだということで間違ないでしょう
アームレストの形状については、もっと綺麗で流れるような形や三次曲線もあるだろうに、と少し不安になりながらも
この靴べらのような少し間が抜けたような形こそが、この椅子には最適なんだと思えると、もう迷いはなくなり製作は進んでいきました
できあがった椅子はとてもプリミティブで牧歌的な雰囲気が漂っています
今の私が作りたいものというのが如実に表すことができて、個人的にはとても満足しています
私たちが作るのは家具そのものではあるのですが
それと同時に作られているのが、その先の景色であったり、家具とともに過ごす時間や使う人の物語でもある
目をぼかして心を研ぎ澄ませる、そんなものづくりに少しづつシフトしていけると良いと考えています