現在一つの椅子を模作しています。
商品としてではなく、あくまで工房の技術を向上させるのが目的です。
題材としているのはPP129というウェグナーが1968年にデザインし、現在デンマークのPPモブラー社で生産されている椅子。通称ウェブチェアと呼ばれていて、背面と座がロープで編まれているものです。 これから、ロープで編む作業というのをやってみようと思っています。
ロープでの編み込みというのも初めてのことなので、それも新たな経験になることなのですが、この椅子の製作を困難にしているポイントで、今回のスタディーのテーマとなっているのは転び、つまり傾斜角です。
椅子の前後左右、それから上下にも大きく傾斜がついており、各部材の接合部が四方向に角度がついています。部材がぶつかる箇所が曲面になっているところもさらに加工を難解にしていたりもします。
何より、この椅子のように前から見た姿と上から見下ろした姿の双方に角度がついているものは、三面図を起こしたところで、部材の加工寸法を図面からは拾うことができないということ。この問題に気づいていたので、実はこれまでにこうした他方向に傾斜する椅子の製作をためらっていました。
図面を引いて、部材の加工寸法を出してから製作するというこれまでの手法を根本から変えて製作に取り組むことにしました。
時間をかけてひたすら手を動かすというより、立ち止まり、少しずつ擦り合わせることを繰り返してようやく形になってきました。出来ていなかった事がひとつ解消されましたが、身につけなければいけないと思っていることは未だ山積です。
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いろいろのな問題もあろうかと、形状やディティールは省略している箇所も多くありますが、先に述べたように角度や、全体のプロポーションというところを写して作って作ってみたことで 、これまでの自分にはなかった新たな感触も得ることができそうです。これは今後、自分の椅子を設計する上でかなり役に立てることができそうです。
この椅子の完成までの過程はこれからもここで報告していこうと思っています 。
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PP129の模作スタディーもロープの編込みを終えほぼ完成といったところです。
作ってみて気づくことが多かった今回のスタディーですが、最後にこのロープで編むというのがいろいろと理にかなっていると感心させられています。慣れてしまえば編む作業は比較的容易で、しかもこの編み方は均等にテンションを効かせることが自ずとできてしまう構造になっています。
そして、ハンモック状に編まれたテンションの効いたロープに体ごとあずけてしまえるその座り心地は、柔軟でありながらしっかりと腰を支えてくれています、あと、その軽さも特筆すべき点です。
ヘッドレストと座面のクッションを製作して完成となりますが、座り心地はすでに疑う余地はなさそうで、長時間座っていられるような休息用の椅子として本当に優れたものだと再認識しています。
スタイリングのおおらかさも北欧の椅子らしさとはこういうことなのかと気付かされます。思いきりの良い傾斜、身幅の広い座面、絶妙な肘掛のポジション、ちまちまとデザインされてなくて良いです。
やはり一人掛けの休息椅子というのは良いものです。
一人掛けの椅子に座ると、個人がその居場所を物質的、心理的に独占できたような感覚を得ることができて、過ごす時間の質が少し変わるんじゃないかと思っています。
一日の終わりに一息つく時間をもったり、休日をゆっくりと家で過ごすと決めたならば、そこに一人掛けの椅子があると素敵なものになるのではないかと。気分や季節で居場所を移動させることだって簡単です。
一人掛けの休息椅子はもっと世の中で認められても良い家具の一つだと私は考えています。
このスタディーは自宅で使うものとして
新しい一人掛けの休息椅子を作りたい欲求にかられております。